さりげなくニュースNo.300

「アメリカの痛々しさとTPP11By Seimeiwada

http://yumin.tyo.ne.jp

 

 

 この3月にようやくTPP11(Trance−Pacific Partonership)が締結の運びとなりそうだ。わが国のリキの入れようは大層なものであった。

 これはアメリカ抜きの11カ国によるものだ。アメリカが参加しないためにGDP規模で4割の減少とはなるがわが国にとってはたいへんなメリットがある協定にしあがった。わが国にメリットがあったということは加盟国にも十分なメリットがあってのことである。この協定によりわが国の農産物の減少は主要33品目で1,500億円の減少である。一方効果の程は46万人の雇用増加、GDP1.5%押し上げ8兆円の効果である。農業団体は騒ぎに騒いで、その結果生産減少分は政府の施策で所得減少にはつながらない。 11ヵ国が一枚岩ではない。カナダの動向である。そもそもカナダはアメリカの態度豹変でNAFTAそのものが危うい状況になってきている。それがTPP11に参加した動機である。自国文化保護にかたくなにこだわりごねている。わが国としては最悪の場合10カ国で締結に踏み出す決意は固めているようだ。それにアメリカの加盟も閉ざしてはいない。思えば前身のTPPはつとに政治的であった、中国包囲網という色彩を帯びていたり、一企業が一国を訴え出ることのできる条項も散りばめていた。今回のTPP11にはそんな色彩は感じられない。中国の一帯一路との協調といったシンパシーを感じさせる。

 アメリカという国は覇権国家から没落に向けてどうソフトランディングしようとしているのか、とても痛々しげな状況だ。

 トランプ大統領は自国の輸出を増やすためにドル安を望んでいる節がある。だが、輸出入の実体経済は20兆ドル程度にしかすぎない。一方金融市場の規模は百兆ドルの規模である。どう考えてもドル高が好ましい。ドル安だと、諸外国、ヨーロッパ、中国、日本などは為替差益で不利になりドル建て債券を買いづらくなる。

 アメリカは消費70%で成り立っている国である。それが一昨年来、小売運営会社が次々に潰れている。こんな状態でなぜ株高なのか。それはEUやわが国のQE(造幣による債券買い支え)で金利差を生じているからである。ところがわが国のQEも弊害が多く立ち行かなくなってきた。

 今年に入って2月2日にアメリカ株が急落した。ダウ工業株30種平均666ドル下げた。2016年6月以来の大幅下落となった。10年もの国債の利回りは一時2.85%を越えた。世界最大の信用を誇るアメリカ国債に異変か。このことと期を一にしたことは、ダラス連銀の総裁カプラン氏の発言である。今年中の3回の利上げを示唆した。国債、株式市場ともに相場を押し下げた。

 話は変わって、アメリカの外務省である国務省の高官がまた辞任を表明。高官9つのポストのうち7つが空席となる異常事態である。一方のわが国の外務省は骨抜きにされながら、汲汲と地位にすがり付いているものばかりである。国土が荒廃しようが城さえ守れればそれでいい。この違いかもしれない。

表紙に戻る