さりげなくニュースNo.244

難民問題で一枚の写真が世界を駆け巡る

9月2日、一つの映像が世界を駆け巡った。3歳の難民の子供がトルコの海岸に流れ着いたのだ。警察官に抱きかかえられた子供の姿に国際社会は難民問題に蓋をし続けることができなくなった。これまでも、地中海で、数千人が溺死、オーストリアでの放置トラックの中では、71人が息絶えていた。イギリスに渡ろうとしてユーロトンネルには、この半年間で3万人以上がおしかけては、捕らえられ押し返されている。

今、問題になっているのは、シリアから逃れてきている難民である。今月の初め、ハンガリーに足止めされていた難民は、ドイツが受け入れを表明するや、ドイツ、ミュンヘン駅には2万人の難民が押し寄せた。EU国の押しも押されぬドイツ、メルケル首相の真骨頂である。

難民問題は一国では限界がある。国内事情と深く関わる問題でも有る。財政負担たるや半端ではない。生活保護家庭が一気に何万、何十万世帯と増えることを意味する。かつてドイツでは難民に時給1ユーロで働かせることをしてはみたものの、国内での反対にあい、早々とこの施策は引っ込められた戸という経緯がある。

低く見積もって、60億ユーロの出費は覚悟しないとならないようだ。経済に余裕の無い国などは、とても多くの難民を受け入れることは出来ないのは明白である。

難民がどっと押し寄せたハンガリーは、かつてソ連から侵攻された歴史を持つ国である。その時の難民、20万人を世界は受け入れた。そんなハンガリーであっても、難民の流入を防ごうとオーストリアとの国境に100キロメートルを越える壁を造ろうと計画している。

こんななか、難民問題に鈍い反応を示しているのがアメリカである。かつて、ベトナム、ボートピープルの難民問題では、80万人以上の難民を受け入れた実績を持つ、ちなみにわが国は、1万人を受け入れている。

現在の難民問題は、シリア、イラク、マグレブ地域(リビアなどの北アフリカ)とリンクしている。その地域の混乱の一端を担ったアメリカは、責任をのがれえないのに反応はすこぶる鈍い。

国連高等弁務官事務所では、来年までにわたって、シリアからの難民受け入れを10万人規模で受け入れるように各国に打診している。そんななかドイツは数万人規模の受け入れをすでに、認めている。だがイギリスの対応は、アメリカ同様に鈍い。その言い訳は、これまでに、相当に多くの難民を受け入れてきている。もはや、余裕は無いというものである。

キリスト教徒に限って受け入れるといった限定条件をつけることが出切るものならば、すぐにでも受け入れるのであろうが、それは、迫害を受けたものの無条件の受け入れという原則に反する。

ドイツのリーダーシップと力量はヨーロッパにおける覇権国家の地位を不動にしたかに見える。EU28か国中12カ国が後ろ向きななか、どう舵取りをなすのか。イギリスのように、EUから抜けるかもしれないと構えている国がある反面、ドイツ国内には、難民受け入れに反対するpegidaという団体も現れている。

2015.9.27 by K.Wada

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