原油とシェールの戦いに決着はつくのか」



 

K.Wada 2014..12.21

  12月9日に開催される予定であったOPEC(石油輸出国機構)の緊急会議は中止となった。

 サウジアラビアは、大きな政治的ギャンブルにでる予定であった。石油に関しては、世界での需給における調整弁の役割をなしてきたサウジアラビア。ここに来てアメリカのシェール革命は大きなライバルとなって目の前に立ちはだかることになった。

 サウジアラビアとしては、OPECを動かして、減産はしないという方向で価格を下げてでもアメリカのシェールを採算割れまで持ち込みたい本音だった。しかし、このことは、あまりにも露骨な政治的ギャンブルと写ったことはあきらかだ。

 アメリカ原油価格の指標であるWTI、10月の原油価格は1バレル85ドルである。80ドルでシェール企業の三分の一は採算割れになるとみられている。サウジとOPEC加盟国はバレル66ドルまでの価格水準を考えていたようである。原油価格の動向に他人事ではいられないロシアも一時支持する発言をしていた。

 アメリカと新冷戦を戦っているロシアとしては、国家財政崩壊の恐れさえある、原油価格低迷へ支持を、表明せざるを得ない国際政治の、複雑さを垣間見せた。

 アメリカの原油輸入量は、日量800万バレル強である。2008年の1,000万バレルから二割程減じている。これは、国内産のシェールオイルの生産と、カナダ産タールサンドによるものだ。

 シェールオイルの生産量はどう推移しているのであろうか。

 先頃、米エネルギー情報局(EIA)の発表があった。

 米のシェールの生産量は過去最高の日量850万バレルであった。2016年には、外国産原油は25%まで減る予想だ。

 原油価格が下がって国家財政が困る国は、南米などの新興国だ。サウジアラビアなどは90ドル台でもびくともしないだろうが、ベネズエラなどは、160台でもしんどそうだ。イラクやロシアにとっても、100ドルをさげると、なんらかの支障をきたしかねない。

 なんといっても、イラク、シリアに次いで、スンニ派サラフィストのターゲットに浮上してきたアルジェリア、リビアだ。この国は石油で生きている国々だ。

 先頃、リビアは、反政府勢力から石油積み出し港の二つを奪還したことにより、これまでの日量20万バレルから90万バレルへと短期間のうちに輸出量を伸ばしている。

 サウジアラビア王家にとっても、過激派スンニ、サラフィストとの関係は微妙なところにあるはずだ。シリアのアサドを倒すためにイスラム国ISISを援助してきたが、いつ刃がサウジアラビアに向けられるとも限らない。そんな不安を常に持ち続けざるを得ないと、想像に難くはない。

 アメリカは石油を自国で賄う事ができれば、中東を侵略する必要はない訳で、シェール革命が本物であれば、アメリカの好戦性も薄められていくはずだ。

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