さりげなくニュース2009.4.26(NO.89)


  このところ我が国の首相の元気な表情が目に付く。小沢民主党代表の献金問題に端を発した検察がらみの疑惑でライバルの逆境がわが世の春とばかりに、表情も桜色である。
 
麻生氏の図太さはあんがい長期政権をもたらしそうな気配さえただよわせている。明治維新後の実質的政権でもあった大久保利通の五代目の血縁にあたる麻生首相は長期政権の基本は忠実に遂行しようとしている。
 
先頃のG20において各国への財政出動を提案するオバマ、アメリカ側に対してヨーロッパは色よい返事をしなかった。そんな中、麻生氏はオバマに忠実にGDPの2%の財政出動をなす構えだ。
 
 今のアメリカには以前のようにアメリカの国策に反する諸外国の政権ないしは人物に対しては対外工作を仕掛ける余裕など持ち合わせては居ないという捉え方もあるが、誰も額面通り受け取る者はいないだろう。
 
原爆投下という人類史上最初にして最大のジェノサイド(マサカーという語のほうが適切か)により国としての尊厳は粉々に打ち砕かれ、現在までも政治指導者や高級官僚の中枢部には本能的恐怖心でトラウマとなっている。
 

我が国における長期政権と短命政権にほんの少し目を向けてみるや事の本質がはっきりと見えてくる。中ソとの貿易拡大を主張する鳩山内閣はアメリカの国益に反した内閣であった。田中政権はアメリカにとって最も危険な政権でもあった。
 
小沢氏はどうもうまく猫をかぶれないようだ。90年代初めまで日米構造問題協議を取り仕切り、湾岸戦争時は対米支援を取り仕切り親米派そのものであった。ところが最近はインド洋での給油問題では反対にまわり、つい最近、4月10日マケイン上院議員との会談では、アフガニスタンへの米軍増派について「軍事力では政府を倒すことが出来ても民を治めることは出来ない。私どもは賛成できない」(毎日新聞2009/4/10)と反対姿勢を示している。こうはっきりと反対出来た人物がかつていただろうか。日本国土を不沈空母にすると時のレーガンに尻をふった中曽根政権はもちろん長期政権となった。最近では、古い自民党をぶっ壊すというキャッチフレーズで国民受けした小泉政権は構造改革という名の下、実は旧田中派の利権解体を目指す、つとに内向きな政権であった。中曽根氏同様、時のブッシュに完璧に迎合した政権でもあった。
 
話しは政権からずれるが、直近では元外務省トップの竹内氏の北方領土問題での3.5島返還発言が毎日新聞にスクープされた。かれは、卑しくも麻生政権での外交問題政府代表の立場の人間である。彼は麻生氏に媚を売った官僚サイドの一例である。なんとなれば、麻生氏は外務大臣であった2006年12月13日の衆院外務委員会での次のような発言があるからだ。「2等分した面積での返還」に言及している。竹内氏はこの意を汲んだのかもしれない。
 
諸外国は世界同時恐慌をなんとしても避けたいと悪戦苦闘しているとき、我が国の視点はどうもずれているようだ。ちなみに中国の温家宝首相は「世界経済は危機が悪化すれば、更なる起爆剤の投入もありうる」(guardian.Tue.7 Apr.2009)と発言している。これは経済刺激策として4兆元(58兆円)を注入している、それ以上の刺激策としての発言である。。このことは世界銀行も評価して、中国の経済は今年の中旬には底を打ち、アジア諸国の不況を救い出すと予想している。