さりげなくニュース2009.2.15(NO.84)


   米大統領選中に発表された外交指針で、日本についての言及がなかったことで話題になった現国務長官のヒラリー・クリントン女史。二月に訪日予定である。中国寄りのヒラリー女史がなにをしに日本に来るのか。 このところ、中国温家宝首相は、米国債の購入は安全性うんぬんと言い始めている。米国債購入に関しては従来より慎重な発言となっている。
 
  オバマ新政権の目玉である、総額8.250億ドルの景気対策法案を通さなければならない。財源はどうするのか。全部税金でまかないきれるのか、という問題にオバマは、直面することになった。
 
  今世界で一番金を持っているのは、日本と中国である。中国が貿易で稼いだ1兆9,000億ドルの外貨準備は魅力だ。新政権の財務長官ガイトナーらが「通貨操作国家」などと中国を非難して、揺さぶりをかけるものの、アメリカの言いなりにすんなりとはならない。
 
  この中旬には入札にかける予定の30年債の期日が迫っている。
 
  私たちはあなた(日本)の保護者ですというキーワード一字でもって、我が国はマネーの無心に応じざるを得ない。出来合いの芝居としてシブシブながらを演じて、資金を出すことになる。中国対策としては、仮想敵国日本への米国の肩入れを強く印象づけることで中国はアメリカに軟化せざるを得ない状況を作り出す。高等戦術である。
 
  一ヶ月に50万人も失業者が上積みしているアメリカもここは必死である。「buy America」という自国製品を買えといった保護主義化の動きが見え隠れしている。先頃下院で経済救済資金にあっては、外国製鉄鋼の利用を禁止するという法案を可決した。オバマ大統領が拒否権を発動するか注目される。

  アメリカが病んでいる以上に世界はもっと病んでいる。アメリカの景気と世界の経済はリンクしてはいないと豪語したデカップリング論はまったく影を潜めている。アメリカをいじめすぎると世界はしっぺ返しをくらうというのが、まだ世界の状況だ。その兆しなのかアメリカの10年債の利回りはドイツ3.3%、フランス3.81%より低い2.84%である。1年債は0.46%。世界が危機的であればあるほどに資産をアメリカ政府の手に委ねたいと思っている。
 
  21世紀はアジアやBRICSの時代と言われてきたが、現在の状況はどうなっているのだろうか。世界の需要を引っ張るはずの中国の成長率が鈍化しだした。8%台の成長率堅持は絶対条件だと言われているものの予断を許さない。2,000万人の移民労働者が失業して村に帰ったという発表や第4四半期の外貨準備が2004年以来最低の404.5億ドルになったという発表が、資本流出(キャピタル・フライト)に何がしかの影響が懸念されだした。
 
  一方、韓国経済は第4・四半期は年率にして21%の縮小。我が国の工業生産は10%近い減少となっている。ロシアにいたってはルーブルが夏頃の1ドル23ルーブルから36ルーブルヘと下落している。日本からの輸入車は割高となり、それに輸入関税が引き上げられたことにより商売が立ち行かなくなっている状況だ。
 
  EUの中核国ドイツでは、[フランクフルト27日共同]ドイツ政府は27日深刻な景気後退に対処するため所得税減税を柱とした戦後最大規模の500億ユーロ(約5兆9,000億円)の景気追加対策と75億ユーロ補正予算を閣議決定したと、報じられている。