さりげなくニュース２００８．8.10

　　まもなく中国オリンピック一色に世界は染め抜かれる。
　
　　ここにいきつくまでには、紆余曲折があった。チベット動乱に始まり中国国内での様々な暴動があった。
　
　　破竹のごとく経済成長を続けている中国国内の大気は汚染され、競技者の多くは北京から離れたところでのトレーニングを強いられた。国際オリンピック委員会のジャック・ロゲ会長は報道機関に対して大気状況が悪ければ、屋外で一時間以上かかる競技は、延期されるであろうと発言している。
　
　　この大気の汚れは、世界一の約一兆三千億ドルの外貨準備高という数字となって現れている。
　
　　平和の祭典オリンピックの開催で軍事といったハードパワーを使わずして国際的に立派な国と認めてもらえる絶好の機会を持ちえることになった。四川大地震の苦境をも乗り越えての一大イベントとなりえた。
　
　　この４日、分離、独立運動を掲げる新疆ウイグル自治区では武装警察が襲撃され、１６人の死者と１６人の負傷者をだした。７月２１日に雲南省でバス連続爆破事件が起きたばかりである。
　
　　お隣の韓国ではデモが吹き荒れそうだ。ブッシュ米大統領はオリンピック開会式出席の前、５日にソウル入りが予定されている。そのプレ騒動とでも言いえるような動きがこの２日にあった。１，０００人規模のデモがなされた。現政権のイミョンバクは、北朝鮮政策で、これまでの金大中、ノムヒョンと受け継がれてきた、北への宥和政策である太陽政策とは一線を画している。
　
　　これまでの太陽政策で韓国内には親北の左翼が多く造られてきたことは想像に難くない。金正日が、イミョンバク政権に揺さぶりをかけていると見るのが、至極真っ当であろう。テロ国家解除という北にとってはとてつもなく大切な時期に、金剛山観光地域での女性観光客射殺事件を起こしたりしている。
　
　　テロ支援国家解除はこの１１日に発効する予定となっている。ただし、核の検証計画が具体化しなければ延期もありえるといった付帯条項付きでもある。この解除は北朝鮮にとって、喉から手が出るほど望んでいることに違いない。国際社会と大手を振って貿易が出来、投資も呼び込むことが出来る。
　
　　米ソという大国によってアジアのなかに冷戦構造が造られ、南は経済に重きを置く進路をとったのに対して、北は軍事に重きを置く体制をとった、その結果、格段の経済格差をうみ、このままでは南に吸収合併を余儀なくされるといった危機感から、なおいっそうの軍事化に走らざるを得なかった。その行き着いた現在は、ピラミッド型百五階建ての「柳京ホテル」の再建にみる独裁政権の見栄がある反面、一般大衆には飢餓が忍び寄っている。
　
　　ＷＦＰ（世界食糧計画）の役員のコメントによると、北朝鮮の食糧事情は１９９０年代後半以降最悪の状態で、食糧支援は次の収穫までの今後３−４ヶ月必要だ。金額にして、２千万ドルの支援が緊急に必要だとしている。このことに関する最新のニュースでは先月の３０日、ＷＦＰのドマルジェリ所長は北京で記者会見を開き、北朝鮮に対して５億ドル相当の食糧支援を計画しているとコメントした。（さて、我が国の動きとしては、１９億１千万円をＷＦＰを通じてバングラデシュ、スリランカ、東チモールの三ヶ国に供与することを決定した。との報道が流れてきた。北朝鮮と我が国の関係は人道上においても厳しい局面上にあるようだ）。