さりげなくニュース2006,7.23
 サンクトペテルブルクで第32回主要国首脳会議が開かれているとき国連安全保障理事会では、全会一致での北朝鮮への核、ミサイル開発放棄を迫る決議が採択された。中国側として強制力をともなう国連憲章7章に言及しない決議案に落ちついたことで拒否権行使という事態は避け得た。  
 朝鮮半島の有事は中国にとっては他人事ではないはずだ。順調な経済成長を続けているものの経済規模では米国の七分の一、日本の三分の一にしかすぎない。一旦有事にでもなれば外国資本は一斉に引き上げかねない。
 富の偏在にたいする不満、昨年の騒動は八万七千件を数えた模様だ。一党独裁体制を脅かす政治問題になっていると指摘されている。60%の富を1%の人が支配する状態と言われているが不満の温床となっていると見られている。
 人口増加、水資源の不足、資源の浪費と様々な課題に直面している中国、「靖国」を内政に利用しているからくりを小泉首相は気づいていた節がある。次期首相候補の安倍官房長官は外交指針案に自由、人権、民主主義、法の支配という四つの外交理念を打ち出す方向だ。  
 人権状況という普遍的価値をうたがわせる方向に贖罪意識や歴史認識が働いてはいけないと発言する中国を念頭においた安倍のブレーンと目される中西輝政京都大学教授の発言が示唆的だ。大方の外務省の考え方は、歴史はたいがい勝者の視点で書かれるのだから飲むところはのまなければいけないが本音なのかもしれない。親中派七人のサムライすなわち河野、福田、野田、加藤、山崎、高村は一貫して首相の靖国参拝に反対を表明している。
 ここに半年前に内閣府が発表した嫌中感情を示す数字がある。日中関係は良好だとは思わないとする数字は04年に42.9%、05年には61%。今年は71.2%へ増大している。
 経済同友会は靖国参拝の再考を求めたのに対して関西経済同友会は毅然としている。1972年国交正常化以来「内政に対する相互不干渉」の原則が確認されてきたという正論が公にされている。
 当初中国側としては靖国問題を自国の内政に利用しようとしたむきがあった。昨年4月の官製の反日デモを仕組んだが「反政府愛国」に移行しかねないからくりに気づきだしたと言われている。それに次期首相候補の安倍は靖国参拝に賭ける信念に揺らぎの兆しも見えない。中国はジレンマに陥っているとみられている。
 中国の一番悪いところは隣国、小さい国を見下すところだといわれている。外交文書から外されたといわれる小泉首相に対する数々の侮辱が今ぽろぽろと洩れてきている。鼻っ柱の人一倍強い小泉には親中派には理解できない屈辱があったものと想像される。
 白人は有色人種を見下す。平等な社会をつくろうとスケールのおおきな日中国交の立役者周恩来の気持ちは日中韓の三国が連帯してより良い世界を築くことが夢だったはずだ。
 朝鮮半島が分断されていることは異常なことであり、また日本は中国大陸を侵略した記憶を忘れてはいけないことも言うまでもないことである。