さりげなくニュース7.2.25


   
 2月17日ノ・ムヒョン韓国大統領はイタリアの訪問先で北支援について次のような発言をした。「われわれが北朝鮮に全部を与えても、またわれわれが全部を負担したとしても、この問題を解決しなければならない。そうしたとしても結局はこちらの利益になる」。北の核放棄問題と5カ国の重油支援問題とのからみでの韓国の覚悟の表明でもあった。  
 一般的に見られているところによれば、六者協議が開かれても、北の新たな要求、アメリカの拒否が繰り返されることになり北の核保有は既成事実化するというものだ。ノ・ムヒョンはそれを念頭に置いての支援発言であると受けとめられている。北の核実験で韓国の北政策は変更を余儀なくされるかと思われた。ところが結果的に原点回帰したかに見える。  
 10.9北の核実験で韓国は南北関係は核実験の前後で違うものになるだろうと警告した。その後10.31北の六者協議復帰と11.7の米共和党の中間選挙敗北により対北政策は元に戻った。北支援事業である開城工業団地と金剛山観光事業は中断から一転維持されることになった。  
 外勢抜きで同族の統一のために北を支援するという韓国の大勢となっている考え方に象徴されるように、98年以来親北・反米思想の植え付けに意をそそいだ韓国教育がここに来て成果を見出してきた。そのことは米国との関係の清算でもある。2006年の韓国防衛白書から「主敵は北朝鮮」のくだりが削られたと言われている。米国との同盟は意味を失ったと韓国側は考えていると捉えられかねない。53年に結ばれた米韓相互防衛条約の破棄も時間の問題ではないかと指摘する向きがある。戦時作戦統制権は12年までに韓国側に移すことで合意がなされた。北が核を保有して韓国と国家連合を組むことになり韓国としては念願の外勢の干渉なく北東アジアでの戦争抑止力としての平和の主導権を握りうる。その意味でも北の核兵器は民族の誇りとなりうる。
 韓国の保守野党を初めリーダーの多くが政府の北支援には賛成であり、アメリカの強硬政策には反対の立場だと見られている。一部には金正日を英雄視する動きもある。我国との温度差がここまできているのも現実である。ところで我国とアメリカの同盟関係といえば、先頃の六者協議で北朝鮮側が強く配備の自粛を求めたステルス10数機前後の配備が我国に完了した。  
 トラウマのように戦後や戦争責任の呪縛から解き放たれず、自らの手で勝ち得たという充足感を欠如した民主主義に安住し、現実の国際政治にコミットメントできない我国の存在感の希薄化の現状に危惧するものがいる一方で日米同盟のあり方を展望する第2次アーミテージ報告が米時間の16日に出た。我国の国連安保理常任理事国入りの支持と引き換えに国連が制裁措置として行う武力行使への参加を促すものであった。自立しだした韓国の躍動を前に国際社会の我国を見る目は希薄化という言葉で表現しうる国民性であると言う人もいる。いつまでたっても一人前の男になりきれない我国の姿を言ってのことなのかもしれない。