さりげなくニュース2007.12.23


  ブッシュ米政権は12月3日国家情報評価(NIE)を発表した。イラクの際は大量兵器ありということで戦争に突入したが、今回イラン問題では核兵器の開発はしていないという発表をなし自らイランを攻撃する題材に封印した。テヘランは早々と勝利宣言を高らかに謳い上げた。
 
  さてブッシュ末期政権にあって東アジアの北朝鮮はどういう環境にあるのであろうか。
 
  アメリカはこれまで本当に北爆をやる意思があったのだろうか。現在は金正日宛に親書を送るといった軟化の状況である。
 
  日米は北朝鮮にあって世界の趨勢から相当立ち遅れた所にあると断言できるようだ。現在北朝鮮と国交を結んでいる国はイギリスを初めドイツ、イタリア、カナダと先進7カ国で残るは日米仏3カ国である。アジアではフィリピン、トルコも結んでいる。
 
  つい先頃北朝鮮商務省と協力関係にあるというサイトが俄然注目された。北朝鮮はいずれ北東アジアの重要な貿易ハブになるとのうたい文句を掲げている。(http:://www.korea−dpr.com)。まんざらの嘘ではないようだ。IT産業に欠かせないレアメタルの宝庫であることが確認され、利権を求め争奪戦が始まっている状態だ。今一歩先んじているのはお隣の韓国ではなく、中国であることはあまり報じられていない。ただ韓国だけは相当の危機感をいだいている。
 
  北朝鮮の鉱山資源は総額で約270兆円に達すると推算されている。ここ5年で8倍に高騰しているウランに関しては北の埋蔵量は400万トンとも言われている。世界最大の埋蔵量を誇るオーストラリアの470万トンに匹敵する。それにあらゆるレアメタルの宝庫でもある。
 
  中国はどういう動きをしているのか。北朝鮮最大の鉄鉱石産地である茂山鉱山の50年間の採掘権を約1020億円で獲得している。最大規模の銅山である恵山銅山の運営権を25年間、北と50%保有の契約を結んでいる。その他にモリブデン鉱山や油田共同開発も進めている。中国の対北投資の70%は資源開発に向けられていると見られている。
 
  鉱物資源の輸入額では韓国は中国の2割の規模である。こういう利権がしっかりと確立しているところにアメリカがのこのこと出かけていき空爆をしようものなら中国、ロシアとの戦争になるのは明白である。拉致問題と慰安婦問題を突きつけることにより日本を、在韓米軍撤退ということで韓国を、この資源争奪から排除することにアメリカは成功したが中国、ロシアに対する場合には全面戦争の腹積もりが必要となる。
 
  この視点からチラッと日米同盟の現在的意義が垣間見えてくる。ある捉え方をする者は、ロシアのウラジオストクからのスクランブルに対しては岩国基地からの発進、沖縄の配備強化は中国、ロシアへの威圧行動ということになる。アメリカの日本を守る意味をこのように見る向きもある。それはアメリカがイスラエルを守るのはユダヤ資本がアメリカの中枢を握っているからだという見方で米国の自国の利害のみが重要という意味で類似しているのかもしれない。