さりげなくニュース7.2.11


   
今年にはいってから対北制裁一部緩和のニュースが飛び交った。アメリカはBDA(バンコ・デルタ・アジア)に凍結されてある北朝鮮の資金約2,400万ドルのうち1,300万ドルの凍結解除の検討に入った模様だ。  
 一月十九日韓国で記者会見したクリストファー・ヒル国務次官補は北朝鮮と多くのイシュー(問題)で合意がなされたと言及した。北朝鮮側に金融制裁一部解除が伝えられた可能性が指摘されている。それに、このところ米側はCVID(核計画の完全かつ検証可能で逆戻りできない解体)原則を表に出さなくなっている。北は、名実ともに安保理常任理事国5カ国とイスラエル、インド、パキスタンにつぐ9番目の核保有国となった。現在のアメリカはベトナム戦争以来のいつ終るともしれない勝利の見通しもない泥沼化したイラクとの戦争をかかえて北朝鮮の六百八十万の武装兵力に戦争をしかける政治的リスクには到底耐え得ない状況だ。ここで、アメリカの我国との同盟誓約と軍事抑止力への疑問の念がでてくることになる。多くの我国の識者は北朝鮮からの攻撃にたいして米国の抑止力は不充分だと思い始めている。我国は軍事力の規模を制限する「平和」憲法を受け入れ、もし核攻撃されたら米国は核兵器を使ってでも我国の防衛にあたるという前提があって我国は核を放棄した。今中国の台頭と北朝鮮の核保有によって米国の信頼性は緊急の課題になってきたとの指摘がある。信頼性という問題で朝鮮戦争当時は世界の共産主義化阻止のために米国人五万人の犠牲のもと戦争を遂行した。ベトナム戦争にいたっては共産主義の「ドミノ効果」を恐れて米国は参戦した。その当時のイデオロギー的な側面と現在の北の我国への恐威は質的に異質な面がある。そこからアメリカに対する信頼性の問題が発生してくる。  
 アメリカが現在従事しているイラクでの戦争はベトナム戦争とは違った面を有している。ベトナムは世界経済の中にあって極めて小さい存在であった。一方のイラクは石油という資源を持つグローバル経済に位置づけられている。同じ泥沼化であってもベトナムの場合は統治能力のある共産主義勢力が北ベトナムにあった。イラクの場合はシーア派、スンニ派という宗教対立的な側面を有し、またクルド人の独立問題もかかえている。
 アメリカはイラクから撤退したくても出来ない泥沼に踏み込んでしまったといわれている。レーガン元大統領時ノレバノンからの撤退、クリントン前大統領の時のソマリアからの撤退とは訳が違うのはイラクが石油をもっている国ということに尽きるようだ。アメリカへの攻撃を視野にいれているテロリストが石油を手に入れる恐怖、シーア派国家群(イラン、イラク南部、アゼルバイジャン)とスンニ派国家群(サウジアラビア、シリア、レバノン、ヨルダン)の動き次第では中東の力の均衡は崩れる。また石油に関して、中東への依存度十数%のアメリカに比べ九十%以上を依存する我国への影響は甚大なものとなる。  
 今後、アメリカが我国との同盟誓約を守れるのか、大きな関心事となりそうだ。