気がつけば日米の周りに友達が皆無

K.Wada 2015.4.26

さりげなくニュースNo.234

 中国はアメリカとがっぷり四つに組み合う程に力をつけたのだろうか。15世紀の世界を航海した鄭和の躍動に似せていいものだろうか。
 
 アメリカの目の黒いうちに経済の血液である金融の世界に足を踏み入れようとする中国は本気なのか。
 
 毛沢東以来の偉大な人物との呼び声が高い習近平、最高指導者は、共産党幹部の腐敗にメスを入れすぎて、現在は暗殺の恐怖と隣り合わせであると報じられている。寝床は何箇所も用意して、同じところには休まない用心さのようだ。
 
 金融といえば、戦後アメリカはブレトンウッズ体制を築いた。当初45カ国が締結した。その基盤はIMFである。現在まできっちりとドル基軸通貨体制を維持してきている。その後世界銀行とともに金融の両輪として機能してきた。ミスターアメリカそのものを表現していると言っても過言ではない。
 
 この体制に挑戦してきているのは、新興経済圏BRICSによるBRICS Bankの創設である。これはIMFを念頭に置いている。
 
 今回中国が音頭をとって進めているアジアインフラ投資銀行AIIBは世界銀行をもろにターゲットにしたようなものだと言われても否定のしようがないほどの挑発に写る。
 
 AIIBへの参加国は40カ国を超えた。もっとも驚かされたのは、アメリカのかつても、これまでも最大の同盟国とみられてきたイギリスがトップを切って参加に手を上げたことだ。そのことで、アメリカの激怒を買い、ダウニング ストリート(英政府庁舎街)は、相当な威嚇を受けた。しかしイギリスはびくともしない。19世紀、世界でバン(番長)を張っていたイギリスの黒字を世界の鉄道建設に金を回したという自負がある。アメリカよ、おまえもマーシャル プランという名のもとに世界に富をリサイクルしたではないかといった思いである。中国も富の行き先をアジアの新興経済圏の下水事業や港、道路、鉄道に投資するのは、非難のしようのない正しいことに見える。
 
 アメリカの同盟国であるオーストラリアまでも参加した。
 韓国は最後までアメリカと中国の狭間に揺れ動いた。韓国は参加したことにより、もうアメリカからの虐めに合っている。通貨ウォンを安めに誘導するための介入に対してアメリカからこごとを言われ始めている。
 
 ヨーロッパの主要国はドイツ、フランスを初め大方が参加している。
 当のアメリカであっても、ブッシュの世界観に捕らわれた一団の反対が薄まれば、参加せざるをえなくなる。最後まで意地を張るのは、仮想敵国という名のもとでのわが国であろう。
 
 AIIBが成功するかどうかは、中国の経済と、共産党一党独裁体制の安定度にかかっているというのが大方の見方だ。
 
 一年に300万人の労働力の減少、賃金上昇に生産力がついて行けるかの問題。それに体制に正当性がないという根本の問題を抱えている中国の前途は必ずしもばら色ではない。
 
 しかし、習近平最高指導者のもと力をつけてきた中国であることに変わりはない。

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