さりげなくニュース2013.3.24

 
   1930年代の手詰まり状態とは、このようなものであったのだろうか。こんな叫びが西側から聞こえてきそうだ。
 
  アラブの春を経験したエジプトの状態は酷い。主食のパンが人々に行き渡らなくなったときが、現在の政権の崩壊の時でもある。警察官の給与が遅配しだし、国内の治安に支障がきたす状況になりつつある。軍隊は、対外防衛が本分だとばかりに高みの見物を決め込んでいる。
 
  エジプト国内の治安が悪化しだすと、国内産業のドル箱でもある観光業が壊滅的なダメージをうけることになる。そのことは、スエズ運河の安全航行にも響くことでもある。もう一つの頼みの綱はアラブ近隣諸国からの援助と借財であるが、諸外国はこの不安定なエジプトに金を貸そうとはしない。外国で働く家族からの仕送りが唯一の支えといったところだ。
 
  ヨーロッパにおいても、経済の飛躍的上昇のために打つ手はそう多くはないもののようだ。中国バッシングで一時の気晴らしをしているような観さえある。それもそのはず、先頃、中国の貿易数値がリリースされた。2月の貿易は、対前年比22PCも輸出を伸ばしている。こうなると、これまで何度も蒸し返されてきた言動が出てくることになる。
 
  中国はひとり立ちできない企業にも補助金を入れて輸出に勢をだしている。巨大企業は国をバックにした国営企業である。また輸出に有利になるために、ポンドを買って自国通貨を低めにすることを常態としている。また、こんな批判を何度となく聴かされて来た。投資がGDPの49pcであるのに対して消費が極端に少ない。変形した経済であると非難する。もっと輸入を増やせの大合唱が西側から起こっても不思議ではない。
 
  世界は今通貨競争が花盛りだ。アメリカがつとに先端を切った。QEだ。ドルをバンバンと刷って、財政赤字を埋め合わせるとともに、その結果通貨安となり、ある面では、貿易には大変有利となるこの手法を真似ようとしているのがわが国である。わが国の場合にはもっと切羽つまっているのかもしれない。毎年、借金返済にGDPの6割も払い続けなければいけない。銀行団が国債を買い続けるのもそろそろ限界に近づきつつあるため、日銀が円を刷り続けて国債を引き受けざるをえない。この国はもうとっくに倒産している国である。どこかにからくりがあるから倒産せずに生き延びている。そのからくりとは、一億人がやがて、きっちりと高税金で絞りむしりとられることである。ただ成長産業の発掘に成功さえすれば、今までどおりいい車に乗り続けられることになる。
 
  アメリカは財政の崖に象徴されるように緊縮に舵を切り始めた。GDPの2pcをピシャリと蛇口を閉めることになる。縮小局面にあるヨーロッパにとっても経済の隆盛には好ましいことではない。日米同盟にそのレゾンデートル(存在意義)とする支配体制側のとまどいも計り知れないものがありそうだ。
 
  IMFの管理下になった過去をもつ韓国経済や台湾もあまりぱっとしない。わが国の場合、近い将来のインフレをうまく統御できるのかという問題とまちがいなく直面するはずだ。それに、アメリカの諸外国からの軍事施設の撤退の動きに際して、どのような外交的立ち位置を築くのか。あるいは、長期低落の道でもある、鎖国の顔をもって自らの殻に閉じこもるのか。今回の選挙で、わが民の7割が支持をあたえたその良識が試される時ははもうすぐだ。