さりげなくニュース2012.1.13

 
 アメリカという国はなにかにつけて、話題を振りまき続けている国だ。それだけ偉大さの足跡を残し続けているということであろうか。
 
 アメリカの銀行は自分の国を信じてはいないのか新規国債をほとんど買ってはいない。世界にインフレを撒き散らし続けてようやく息をつないでいる自国の国債など恐ろしくてとても買えないのだろう。連銀が90%以上を引き受けているのが実体である。もう目の前まで債権バブルの崩壊が迫っているのが明白なときに、そんな危険なものに手を出す者などいようかとなる。
 
 ここは、アメリカの名誉のために、経済の歴史的超スーパースターである、かのアダム・スミスの言葉を捧げることは大いに意味があることであろう。「there is a lot of ruin in a greate nation.」。このruinにこめられた意味を破産と受け止めるのか、はたまた荒廃という意味に取るのか、あるいは没落なのか、堕落なのか。大変に意味深な言葉の意味となりえる。かの国の1%の人が70%の富を所有している現実を見るならば、それは、荒廃であろう。基軸通貨であるドルをいいことに世界にインフレを撒き散らし、辛うじて人口呼吸器で呼吸をし続けていることは没落であろう。一国覇権主義に酔いしれて同時に二つの石油戦争に明け暮れた挙句の、大国の没落過程である。
 
 アメリカの名誉のために触れておかなければならないことは、またしても石油というエネルギーのことである。21世紀初頭はエネルギーにからんだ戦争の10年であった。現在アメリカは、石油国内消費の20%を輸入に依存している。しかし、北米地域でのシェルガス採掘の成功でアメリカはエネルギー輸出国になる可能性が出てきた。どこで何が幸いするか神のみぞ知るである。2020年までにはアメリカはガスの輸出国に転じる模様だ。これは国連のエネルギー機関であるIEAが2012年に発表した世界展望によるものだ。この反動は中東の産油国、特にサウジアラビアに及ぼす影響は甚大なものと成る。ガツガツと石油資源を食いつぶしているばかりの国に将来はない。当人はもう気づいて、急ピッチで対応に走り出しているのかもしれない。
 
 シェルガスの埋蔵量では中国も最大級である。新疆の地域には36兆立方メイトルの埋蔵量が見積もられている。今後、これらを取り出す技術とコストの問題や、地下からの環境問題という課題と向き合うことになる。
 
 偉大な国家アメリカが蘇り、強いアメリカとして東アジアに係わり続けるのか。それとも同盟国に対して、軍事的係わり合いを減少させていくのか。同盟国はしっかり注視することを迫られる一年となりそうだ。
 
 アメリカ国内には、東アジアが緊張持続状態であることに多大な利害を有する一団があることも事実である。しかしアメリカを支配している商売を旨とする資本家の一団が優勢になることも否定できない。今回の尖閣問題は、東アジアの波乱によって得する側から投げられたボールであった。そのことを踏まえ、新安倍政権が冷静な視野に立つ時、事態は正常にもどるはずだ。ただ、尖閣に公務員を配置したり、建造物を建てたりしたならば、中国との部分的戦争をも覚悟せざるをえない。たとえ、わが国がその戦争に勝ったとしても、以後の断絶は確定的なものとなりえる。東アジアの仲間には加えてはもらえず、台湾がずっと孤立し続けたと同じような世紀を生き続けることになる。それだけの覚悟があって事を進めるのなら、それはそれでいいのではないか。