さりげなくニュース2011.5.15

   4月下旬から5月にかけて、いろいろな出来事が起こった。衆議院予算委員会での菅首相の発言は、お盆までには被災地の仮設住宅を完成させたい、という発言である。この首相の宣言に対して官僚側、国土交通省の返答は、お盆までには6割方の完成見通し、というものであった。
 
 このことは何を意味しているのか。強権の小沢一郎であったならば、きっとこう言うはずだ。わが国でこんなことも出来ないなら、材料と作業員を中国からでもアメリカからでも連れてきてお盆前にすっかり完成させろ、と有無を言わせないはずだ。だがその小沢氏は、リーダーとしての、部下や官僚に対して思いやりや気分良く仕事をさせる柔和さにかけ、反対に利益誘導と、恐怖心を植えつける手法のために、権力のトップも得られない。氏の能力は活かせずに沈み込んだままである。もし、竹下元首相がこの局面に居たならば、官僚をおだてにおだて、彼らのやる気と能力を遺憾なく発揮させたであろう。つくづく被災地の人々は災難である。
 
 ついで、またまたメガトン級の爆弾がウィキリークスによってもたらされた。ウィキリークスは、日米間の公電を暴露した。今年の1月に朝日新聞にもたらしたものだ。朝日はこの時期にスクープとして1面、2面、3面を割いて発表した。朝日側の言い分としては、分析に手間取ったためにこの時期の発表となった、というものであった。
 在沖縄海兵隊のグアム移転経費が粉飾され、わが国の血税がアメリカに貢がれていたという証拠を突きつけられてしまった。基地移転問題も止まったままになった。それにしても、新生民主党の外交政策を悪し様に言い、アメリカに助言までする外務官僚のアメリカべったりぶりが、白日のもとに明らかにされてしまった。
 
 わが国のマスコミも、今回の原発問題では、その弱点が露になった。
 ニューヨークタイムス東京支局長が指摘するように、放射能危険度に対する認識は海外とわが国との間では、大きな隔たりがあった。マスコミは東電の言うがままにレベル4に、なんの疑いも差し挟まず、情報の中身を精査する姿勢さえなかった。結果的に危険度はレベル7に引き上げられた。
 支局長はわが国のメディアについて辛らつな発言をする。メディア自体がエリート層の一部になっているので、政府と敵対関係にはなれない社会だと、言ってのける。このメディアの状況も由々しきことだ。
 
 ついで、ビックニュースは、アメリカ、オバマの軍事コマンドがオサマ・ビン・ラディンの殺害に成功したというものだ。それもパキスタンというれっきとした主権国家の地に出かけていっての襲撃である。
 
 オバマも来年の再選に向けて、どこかブッシュに似てきた。この計画は実は、オバマの選挙期間中に宣言している。ただその実行をしたまでのことかもしれない。この殺害に対しては、根深い陰謀説が出ている。顔写真も公開しない、すばやく水葬にしてしまったことなど、数々の疑問が投げかけられている。
 
 殺害で一番の得をしたのは、10%近く支持率を上げたオバマかもしれない。あるいは、ビンラディンを隠したり探させたりのゲームを持続することによって9.11事件以来、200億ドルのパキスタンへの軍事、経済援助の腐れ縁の、清算なのかもしれない。(ビンラディンは2007年には死んででいる という説は有力である。)