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さりげなくニュース11/26

   
 我国にあって戦後を引きずっているものに慰安婦問題とか南京大虐殺がある。我国だけがなぜこうもいじめられなければならないのかと被害妄想にとりつかれている面がある。視線をヨーロッパに向けてみる。我国と良好な関係を築いてきたトルコ共和国に目が行く。第一次世界大戦時に起こったアルメニア人大虐殺の歴史がにょきっと現代に顔をだしてきた。
 思想の自由、文化に燦然たる伝統をもつフランスにあって言論を封殺するような「アルメニア人虐殺否定禁止法」なるものが決議された。偶然なのかこの法案の投票とスウェーデン・ノーベル・アカデミーの発表が重なっていたことに耳目が集まった。ノーベル文学賞がトルコ人権事項に注目を集める目的で「政治的な話題」に歩調を合わせたという指摘がある。受賞者のオルハン・パムク氏は「アルメニア人100万人の虐殺をトルコは認めよ」との発言で保守層から祖国の裏切り者呼ばわりされ殺害の脅迫を受け投獄の恐れもあった。あたかも70年反体制作家ソルジェーニツィンを彷彿させる。当時は東西のイデオロギー対立であった。現在は宗教、民族の対立、戦争を経験している時代に突入している。そんな違いはある。
 トルコ共和国と我国の関係は良好である。皇族の訪問をはじめ先ごろは小泉元首相も訪問している。山形県寒河江市とギレスン市は姉妹都市の協定をむすんでいる。「EUにとっての中国」といわれるように低コストで豊富な労働力がある。トヨタ自動車を筆頭に進出企業は現在88社にのぼっている。
 現在トルコにとってEU加盟は緊急の課題だ。加盟によりEU輸出でかかっている14%の関税が撤廃されEU向け輸出は爆発的に伸びるとみられている。ところがここにきて歴史問題がたちはだかりEU加盟を難しいものにしている。
 フランス国会がアルメニア人大虐殺を「ジェノサイド」(民族の殺害)」と認定したことにトルコ側は猛反発している。ここにいたってイスラム教国家トルコによる最古のキリスト教国家アルメニア人虐殺ということになり宗教対立の様相を呈してくる。それに民族の抹殺はナチによるホロコーストを彷彿させかねない。トルコとしては絶対に認めるわけにはいかない。この点日本による南京大虐殺はナンキンのマサカー(massacre)という単語が適語である。
 かつてマルクス主義を筆頭に未来にユートピアを築く政治思想は魅力的であった。このイデオロギーが失墜するとともに未来に対して理想郷を追求出来なくなった桎梏が時間軸を過去に向け「忘れるべきもの」も「覚えているほうがいい」という精神風土を招いたと指摘する向きがある。
 周恩来は過去は水に流したと言いきり我国は経済援助によって中国に報いてきたと。中国は表立って補償問題を口にはしていない。ただ時代状況が後ろ向きになっているその反映として忘れたはずのものも少し覚えていたほうがいいとなっている。このような時代背景だ。