さりげなくニュース2011.12.25


   今月、イラクのマリキ首相はアメリカを訪問した。ここでは、アメリカがイラクから軍隊をほぼ完全に撤退することが話し合われた。軍事管理部門のような兵力は何千人単位で残される模様だ。シリアにおける五千人規模での自国民殺害をなしているアサド体制に対して引導を渡す協力に、マリキは、明快な態度を示してはいない。ちょうどこの会談の時期と期を同じくして、イランのテレビは8日、重大なニュースを流した。
 
  イランの核問題との関連で、アメリカのスパイ無人偵察機RQ−170センチネルがイランに捕獲されたというニュースである。この電子偵察機は、つい先頃パキスタンに潜むオサマ・ビン・ラーデン殺害のための偵察に使用された優れものである。ここ数年前にようやく、その存在が世間に知られることになった秘密兵器である。今回、アフガニスタンとイランの国境付近、イランの東部の空域を侵害していた。イランによって打ち落とされたわけではなく、ほぼ無傷に捕獲されてしまった。オバマは、機体返還を呼びかけるもののイランはそれに応じようとはしていない。
 
  このアメリカの誇る無人偵察機捕獲は、いろいろな憶測を呼んでいる。。イランに電子制御のアンコントロール技術があったのか。あるいは、ロシア製の軍事電子システムをすでに導入していたのか。これは、アブトバザ(Avtobaza)と呼ばれ、イランが数ヶ月前にロシアから導入したと報じられているしろものである。イランとしては、この情報が満載の機体と引き換えに、ロシアから、高度の軍事技術供与を、引き出しえるかもしれない。このRQ−170センチネルはイランの核施設をスパイする任務を帯びていたことは明白である。人工衛星でのフォローは、せいぜい数分が限度であるのに対して、このスパイ偵察機なら何時間単位でウオッチ可能である。
 
  イランの秘密の核施設は、核弾頭でなければ破壊し尽せない坑道深くに設置されていると見られている。この偵察機はラジウム アイソトウプを検知出きる装備も備えている。
 
  アメリカは、イランの原油貿易を締め付けて経済を疲弊させる戦略にでた。イランから原油を多く輸入している国は、日本、韓国、中国である。わが国や、韓国がアメリカの要請に応じたとしても、中国がその分いくらでもイラン原油を買うというスタイルは、わが国がアザデガン油田の権益を放棄させられた結果、その権益の70%を中国が引き継いだスタイルを彷彿させるであろう。
 
  話は変わるが、ここ数十年単位でのロシアの動きに目が離せない。このことはわが国にも似たような因子を感じ取れることでもある。
 
  ロシアの人口減少が、戦時体制でもないのに異常である。2050年迄には、20%の人口減少に見舞われそうだ。そのことは、現在の軍事力維持が不可能になり、世界経済に占めるシェアが減じることを意味する。それがもたらす最悪のシナリオは、自信を失ったモスクワが無謀な対外行動にでることである。わが国にも似たようなことが言える。 
  
  国別10万人あたりの自殺率の推移を見ると、主だった国の中で、ダントツの韓国は別にして、わが国はロシア、ハンガリーに次ぐワースト4の位置にある。希望の少ない世の中に突入し出したと言いえる。それにしてもロシア男子の平均寿命が61.8歳は後進国並みである。ただ、おもしろいデーターは、ロシア大卒男子の平均寿命は初等教育者より、10歳長い。このことは、国のなんらかの実情を反映したものなのかもしれない。