さりげなくニュース2010.8.29
今、イランの動きから目が離せない。イランの最大の敵であるイスラエルとアメリカが世界を巻き添えにしてどのようなイラン封じ込めに出ようとするのか、注意深く観察する必要がある。アメリカが本腰のアタックをかけようとする時は、きまって相手国の攻撃を誘う手法をこれまではとってきた。我が国の真珠湾攻撃は悪者の権化のようにその先制攻撃が見られてきた。あるいは9.11も真珠湾攻撃と似たようなアメリカの意図がそこに秘められていたという。
アメリカがイランをつぶそうと思ったらイラン側からの攻撃を誘発するなんらかの誘導があるはずだ。イラクが図に乗って近隣を攻め入ったりしたようなアメリカの意図は今のイランには通じない。別の局面打開なのか、アファマドネジャド大統領暗殺未遂事件が発生した。一時はイラン側はその事件を認めたものの、後になってなんらかの理由により暗殺未遂事件を否定した。 精神的指導者の中心であるハメネイ氏は欧米との核に関する会談を拒否している理由として、アメリカが拳を振り上げながら一方で交渉せよというのは理にそぐわないとアファマドルジャド側にたって国内は一枚岩に見える。
今月の21日原発の燃料である濃縮ウランがロシアより、ブシェール原発に運び込まれた。30年来の宿願であった原子炉に火が燈ることになる。この日をもってイスラエルはこのブシェール原発を空爆出来なくなった。
燃料棒が運び込まれる前日には、イラン国産である地対地ミサイル、クイエイム(Qiam)のイメージ画像が流された。これは当然イスラエルからの攻撃に対処できるというシグナルの発信という意味を持つ。このミサイは当局が自慢するだけのことはあって、敵の迎撃を防ぎ、目標を的確にアタックできる優れものである。機体にはイスラムシーア派導師の一人であるマフディという名が刻まれている。砂漠の砂煙を舞い上げて地中に打ちあがるミサイルを備えているイランは、まもなく長距離のミサイルであるカラル(Karar)のお披露目も期待されている。
原発の燃料である濃縮ウランはロシアが供給することになっているが、これからずっとということは保証の限りではない。そこで自国で濃縮ウランの生産に乗り出さざるをえなくなるのは必然である。だがこの濃縮ウランは原子爆弾の核分裂の燃料にもなりえるので、アメリカが唱えている核の不拡散という理念に反するから、安保理でイラン制裁という動きになる。本音は、軍事力という重要なファクターを通して、今後のキリスト教圏とイスラム教圏の新たな勢力争いのスタート台とも捉えることが出来る。そういう大きな流れの中でのイスラエルという国家は滅亡せずに存続し続けているのか、イスラエル自身にとっても根源的不安に違いない。
現在のイランのウラニューム濃縮技術は10数パーセントの精度であるにすぎず、これを核の燃料として使える90%まで高めるにはまだ時間がかかる。来年の早々には自前のウラン濃縮プラントを建設予定であることを当局は宣言している。場所は空爆に十分耐えうる山中としている。イスラエルの空爆は完全と否定しえないのもまた事実である。
イスラエル国家の滅亡を宣言して止まないパレスチナのハマス、それにレバノンのヒズポラに囲まれたイスラエルにとっては気を気の抜けない日々が続きそうだ。