さりげなくニュース2010.5.30


  この第一四半期、我が国のGDP年換算で3〜4%の伸びという数字が紙面を賑わしていた。軍事基地問題という戦争と参議院選挙といった心躍る選挙問題に明け暮れている割には、経済は順調な滑り出しをみせているかのような印象を与えた。
 
 ところで、世界の市場の動向は如何に。ヨーロッパの正念場は佳境に入った。ドイツは、EMU(ヨーロッパ通貨統合)から離脱してドイツマルクを復活させることになるのか。それとも踏みとどまるのか。ドイツとフランスでは温度差がある。
 
 ドイツ、マルケル首相はついに弱音を吐いた。ユーロはもはや存亡の危機であるという見解に達したのに対して、フランスのクリスチン・ラガルデ財務相は、ユーロは、絶対に危機なんかではない、という見解を取る。
 
 ドイツの銀行は、ユーロ国、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、イタリア、アイルランドの国債を5,220億ユーロ(約50兆円以上)買っている。(Telegraph:20 May 2010)
ギリシャなどが借りた金を返済できるのか。そんな不安がつきまとう。アルゼンチン危機と似通った、下方スパイラルが懸念されてきた。こんな心配の中、ドイツはフランスのリードするEUブロックに乗せられるままに7,500億ユーロ(約80兆円)の救済パッケージを認めざるを得ないはめになった。
 
 市場は最悪の事態に備えようと身構えている時に起こったドイツ金融監督庁の打ち出したボンド・トレーダー空売り禁止の措置はユーロ特にフランスの不評を買った。一言相談して欲しかったという発言の中に意志疎通の乱れが現れだした。ドイツにしてみれば、銀行間取引の危険度を示す指標であるLibor−OIS指標が9ヶ月間25ベーシスポイントの上昇を示していたということもあったであろうと、見られている。
 
 何百年と続いたヨーロッパの支配が一時、現在アメリカに移っているものの、ヨーロッパとしては再度、支配的立場の再建という大目標をその胸の中に秘めてのEU建設は、今大危機に瀕している。
 
 このヨーロッパの危機的状況に比べるならばアメリカの立場は余裕といってもいい。しかし問題が無いというものでもなさそうである。デフレスパイラルの悪魔が忍び寄る気配があるようだ。5月中旬の一週間の失業申請数が過去最大の47,100件を記録したとか、建築許可が二桁の減少を示しているなどのネガティブなデーターが出始めている。
 
 一方これまで世界経済を牽引してきたかのように見えた中国も不動産バブルという強敵を前に信用規制に乗り出してきている。ゴールドマン・サックスのレポートによると今期5月上旬の北京の不動産販売は、昨年に比べ80%のダウンと謳っている。
 
 さて話は、我が国にもどるが、普天間基地移転問題は東京発で、どう外国に報道されているのだろうか。ガーディアン紙から拾ってみる。
 
 日米同盟にとってグッドタイミングなのかバッドタイミングなのか、北によると見られている韓国の軍艦沈没事件は、日本政府に日米同盟の抑止力を再認識させることになった。
 
 沖縄は、東北アジア有事の際には必要な基地であるという線で落ち着きそうである。また、鳩山政権は、左派連立政党との同盟を失うとともに、基地問題の公約違反で7月の参議院選挙では大敗するであろうと、東京伝で言及している。